深大寺(調布市)

 深大寺は、東京都調布市にある天台宗の寺院で、関東地方で最も古い歴史を持つ寺院のひとつとされています。寺伝では、天平5年(733年)、満功上人の創建となっています。
 深大寺には、国宝に指定されている「銅造釈迦如来倚像(いぞう)」があります。この像は飛鳥時代後期(白鳳時代)を代表する作品で、日本でも非常に珍しい倚坐(座った姿)の仏像です。像高は65.8センチメートルと比較的小ぶりですが、柔和な表情と洗練された衣紋の造形美は、当時の工芸技術の高さを示しています。
当像は、明治42年(1909年)に東京帝国大学理学部人類学教室の助手であった柴田常恵氏によって発見されました。当時、柴田氏は友人と共に深大寺を訪れ、元三大師堂の須弥壇の奥に横たえられていたこの仏像を見つけました。この発見により、長らく所在が不明であった飛鳥時代後期の貴重な仏像が、再び日の目を見ることとなりました。その後、仏像は詳細に研究され、大正2年(1913年)旧国宝に指定されました。
 第2次世界大戦後、文化財保護法の制定により、いったん重要文化財とされましたが、2017年(平成29年)9月15日に国宝に指定されています。 (指定番号彫刻00133)

画像の説明:釈迦如来倚像(2014年12月撮影)(国宝指定前)
現在は、撮影禁止になっています。

 仏像の様式や技術から、この倚像は飛鳥時代後期、白鳳文化の流れを汲む作品であることが明らかになっています。法隆寺の「夢違観音立像」と同じ工房で鋳造された可能性が指摘されています(*1)。なお、当像がいつ頃当寺へ請来されたかは、定かでは有りません(*2)

 当寺の元三大師像(がんざんだいしぞう)は、深大寺が天台宗の寺院であることを象徴する重要な仏像です。元三大師は、比叡山延暦寺の18代天台座主慈恵大師良源の尊称です。元三は、良源大師が正月三日に亡くなったためそう称されました。像高約2メートル、鎌倉時代に制作されたと考えられ、肖像彫刻としては日本最大級の規模を誇ります。当像は修復が終わり、現在奈良国立博物館で特別展示中です。(*3)特別展示後は、深大寺に戻る予定です。

画像の説明:左又は下:深大寺本堂 右又は上:深大寺元三大師堂

 最後になりましたが、深大寺といえば「深大寺そば」が有名です。当地の湧き水が、美味しいことで知られ、それが蕎麦作りに適していたため、江戸時代以降、門前町で蕎麦文化が発展したそうです。現在でも地元の名物として有名です。

(*1)当像は、木蝋、蜜蝋で原型を造る鋳造技術が使用されています。蝋は柔らかいので、複雑で微妙な像形に適しています。蝋を挟んだ原型を焼くと蝋が流れ出て、予め作っておいた湯口より、銅を流し込む手法です。唯、表面からは水銀が検出されず、当寺の金銅仏の技法は、更に検証が必要とされています。

(*2)下記は、チャットGPTを使用して、収集しましたが、他の文献で確認できませんでした。
「関東地域への天台宗の布教が進む中で、この仏像が迎え入れられた可能性があります。深大寺には平安時代以降、多くの仏像や経典が請来された記録が残っており、特には信仰の広がりに伴ってこれらの請来が増加しているとされています。」
これは、東日本には、10世紀以降、天台宗寺門派円珍が開祖とされる寺院が数多く存在し、あるいは、元三大師が、10世紀後半の人であることから、10世紀後半に請来された可能性があるのではないかと考えます。

(*3)特別展示期間は、令和7年(2025)1月15日(水)~3月16日(日)。期間中、休館日もあります。

2025年02月01日