薬師寺東院堂

 薬師寺東院堂は、鎌倉時代の弘安8年(1285)再建です。薬師寺境内の東側、回廊の外に建ちます。寺の縁起によりますと、元明上皇の冥福を祈るために娘の吉備内親王が養老年間(720年頃)に建立した東禅院が前身です。国宝に指定されています。

画像の説明:薬師寺東院堂

 当初は南向きでしたが、享保18年(1733)に西向きに建て変えられました。薬師寺内の利便性のためだったのでしょうか。南向きでは、薬師寺金堂からは、大分遠回りになります。

 堂内で祀られた本尊の聖観音立像(国宝)は、特に有名です。像高188.9cm。蓮華座上に直立する菩薩像で、右腕は体側に垂下し、左腕は曲げ、手は肩の辺まで上げて掌を正面に向けます。

 当聖観音は、白鳳期或いは天平期の作品です。ただ、東院堂自体は、鎌倉時代の再建で、当聖観音像の中世以前の所在は明らかでなく、当初から東院堂の本尊であったとする確証はない、という指摘もあります。

当聖観音菩薩立像の模造品が東京国立博物館にあります。

薬師寺聖観音菩薩立像(模造)
本画像は、東京国立博物館提供のコンテンツです。
 「東京国立博物館提供画像加工(C-1830)」

[http://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0098344]

 

 

東院堂の聖観音菩薩立像と金堂三尊像の月光菩薩は、像容が良く似ています。聖観音菩薩立像では、腰から足首にかけて裾が下方に垂れています。聖観音菩薩は、天平仏の様な胸飾り等の華やかさがある一方、飛鳥仏と同じく、正面観、全体的に左右対称な像容を持ちます。
側面観をもち左右非対称の月光菩薩より、東院堂聖観音菩薩立像は古い像容と言えます。

この様な点が、薬師寺の建立年代、藤原京、平城京の二寺併存がプロの先生方の間で議論になる一方、私は、東院堂の聖観音が、藤原京にあった薬師寺の本尊ではなかったのかと想像しています。

薬師寺は、2009年以来長く再建工事中でしたが、一通り、完成しましたので、あわせて写真掲載しておきます。

画像の説明:薬師寺 東塔と西塔

画像の説明:薬師寺金堂

2024年11月01日